うらやましい孤独死
森田 洋之 「うらやましい孤独死」 からの学び。
この本は、「孤独死なのにうらやましい」事例を紹介することで、
孤独死を過度に恐れるため、独居高齢者を施設に収容してしまう、
いまの医療システムに異論を唱え、
うらやましいとは言わないが、
孤独死でも綺麗に死ぬことが、可能だと思わせてくれる良書。


「生きる」は「死なない」ことじゃない
それは命は助かるのに自宅に帰れないということだ。
つまり、要介護状態になって、
場合によっては人工呼吸器や胃ろう栄養などの延命治療によって、
病院や施設で命を保つということである。
・・・ほとんどの人が「延命治療をしてまで行きたくない」「自宅で死にたい」と言う。
高齢者になって、生命維持のための治療が必要になり、
入院して治療すれば、生きることはできても、
元通りに、自宅で一人暮らしすることができない。
これは「生きるを選択して死ぬ」か
「生きるを捨てて死なない」か、の究極の選択です。
しかし還暦近くのワチですら、人生の先は見えてるし、
運動がんばっても、勉強がんばっても、
体力も知力も、落ちるばかりだし、
頑張りが足りないかもだけど、頑張れないし、
未来に、希望があるように思えないし、
五体満足でも生き続けることに、疑問があるのに、
病院のベッドに寝かされて、好きなことさせてもらえないなら、
好きなことして、さっさと人生を終わらせた方がマシです。
SNSが絶望を助長させる
若い頃は「死ぬのが怖い、死にたくない!」って、強く思ってました。
しかし良くも悪くもない人生を、何十年も過ごしてしまうと、
長生きする意味に疑問符がつき、死への恐怖に、
未来への絶望が、勝ってきます。
SNSなどによって、ホリエモンさんや、孫正義さんのような大成功者だけでなく、
いままで見えなかった、小さな成功者も可視化されて、
孫さんと比べられて駄目なのは「当たり前」、だから気にならないけど、
フォロワー数万の、ちょっと稼いでる人と比較すると、
差が小さく感じられるぶん、自分にできたかもって思ってしまい、
自分の駄目さに現実味がでて、なおさら辛いです。
でも成功者で未来に希望のあるホリエモンさんが、
不老長寿に興味があるのは、もっともなことです。


自宅で死にたいなら孤独が良い
しかし日本国民の死亡場所の8割は病院なのだ。
・・・入院による安全・安心の魔力は「最期まで家にいたい」という高齢者の思いを容易に踏みにじる。
・・・延命治療で命を延ばすことができる状況で、それを選択しないという決断は、家族にとって相当の覚悟が必要だ。
本人が最後まで、自宅で自力で生きたいと望んでも、
家族や医師などが、安全・安心をえるために、
彼らの考えで、入院させてしまうことが少なくないそうです。
自分の死に場所は、自分で選べると思ってました。
治療で回復させようと、病院で治療を受けさせたい家族の気持ちが、
死期を悟り「自宅で死にたい」という、本人の意思を踏みにじるとは皮肉です。
苦しそうな親に目をつぶって、治療を受けさせない決断の難しさは、
想像しただけでも、胃に穴が開きそうです。
でも孤独オジサンは、自分の意思を通せます。
いいんだか悪いんだか、わかりませんが。
肉体の置き場より、ファントムセンス
しかしVRゴーグルがメガネなみに手軽になって、
スマホなみに、普及すると、
自宅だろうが病院だろうが、肉体を置く場所は関係なくなります。
メタバースの世界で、自宅での生活を再現してもいいし、
海だって、山だって、宇宙だって、アニメの中だって、
好きな世界に浸りながら死ねます。
大事なのは、視覚と聴覚だけの刺激から、
それ以外の感覚を感じることができる、
ファントムセンスを磨くことです。
VR臨終でみんな、うらやましい孤独死
ファントムセンスを身に着け、メタバース内で生きながら死ねば、
本人は死んだことすら、気づかないかもしれません。
他人から見たら、VRゴーグルかけて寝てただけです。
しかし本人にとっては、理想の孤独死じゃないでしょうか。


*この本にVR臨終のことは書いてません。
あと数年で、誰もが
うらやましい孤独死
単独おじさん